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セルフマネジメント

2024.9.24

多くの人が勘違いしている、従業員の動機づけ

モチベーション研修への疑問

企業の管理職や人事担当の方とお会いすると、しばしば「従業員のモチベーションを上げたい」という声を伺います。従業員の方々に、意欲的に、主体的に仕事に励んで欲しいという願いです。そして、「モチベーションを高めるような研修をやりたい」というご要望をいただくのです。

しかし、これはあまり有効な考えとは言えません。モチベーションアップを目的とした研修には限界があるからです。モチベーションと仕事の成果との間には、大きな隔たりがあります。モチベーションが上がれば成果が上がるなんていう簡単なものではないのです。

そもそも、モチベーションは「上げる」ものではなく、「上がる」ものです。上げようと思って上げられるものでもありません。モチベーションは副産物として「上がる」ものです。モチベーションが上がるためには、まず先にやるべきことがありますし、モチベーションを上げること自体を目的としてしまうと、期待した効果を得るのは困難だと言えるでしょう。

モチベーションと成果の複雑な関係性

モチベーションが向上すると、確かに仕事への前向きな姿勢は生まれるかもしれません。行動量が増え、新しいアイデアを考え出そうとする意欲も高まるでしょう。しかし、これは成果の向上に向けた第一歩に過ぎません。

それが成果に結びつくまでにはいくつかのステップを経る必要があります。試行錯誤を重ね、その過程で得られる貴重な経験と学びを通じて、実務能力を向上させていく必要があります。そして、成果が出せるだけの能力が備わった時に、なお行動を続けられている時、ようやく求める成果を生み出すことができるのです。

この道のりは決して短くはなく、容易に成果は得られません。なかなか成果が得られない中で、次第にモチベーションが低下してしまい、行動量が減っていきます。そして成果が得られなくなり、再びモチベーションを上げることが課題になってしまうのです。これでは堂々巡りになってしまいます。

外発的動機付けの限界

従来型のモチベーション研修の多くは、「外発的な動機付け」によって作られています。研修という非日常の場で、受講者同士の交流や講師からの刺激によって、一時的な意欲の向上を図ろうとするものです。

しかし、このアプローチには大きな欠点があります。研修で得られる一時的な刺激は、熱しやすく冷めやすいのです。研修直後は確かにモチベーションが高くなるでしょうが、日常業務に戻った途端、その効果は急速に失われていきます。

研修時に思い描いた理想と、現実の職場のギャップにさいなまれ、思い描いていたようには事は進みません。研修で設定した目標も、描いた計画も、机上の空論だったと諦めるようになり、自らの無力感にさいなまれて現実に戻っていきます。そして、元通りの日常が繰り返されるのです。

一時的にモチベーションが高まったとしても、根本的には何も変わっていません。仕事の性質や自分の能力が変わらない中で、気持ちの持ちようだけで物事がうまくいくほど現実は甘くありません。意欲が高いに越したことはありませんが、意欲だけではどうにもならないのです。

内発的動機付けと成果の好循環を作れ

では、どうすれば良いのか。その答えは、「仕事が楽しい」という状況を作り、自ら仕事にのめり込んでいく内発的な動機づけを行う事です。「楽しい」という感情は脳内でドーパミンを分泌させ、快感を得ようとして自らを行動に導きます。仕事が楽しければ、自発的に仕事に励みます。仕事に励めば成果は出ます。

モチベーションという捉えどころのない横文字に惑わされず、成果が出ない原因をシンプルに考えましょう。成果が出ないのは、やるべきことをやれていないからです。やるべきことをやれていないのは、それがつまらないからです。仕事がつまらないから、仕事が励まないのであり、仕事が面白ければ自ら仕事に励みます。仕事に励めば、やり方さえ間違っていなければ成果は出るのです。

そして、仕事の楽しさを感じるために最もシンプルな方法は「結果を出すこと」です。自分が期待した通りの結果が得られれば、仕事は楽しくなります。思い通りにいくから楽しい。思い通りにいかないからつまらない。ただそれだけなのです。

モチベーションが結果を生むのではなく、結果がモチベーションを生み出すのです。順番が逆です。逆説的ですが、モチベーションを上げたいのであれば、まず結果が出るようにしなければなりません。そして、結果が出ているのであれば、モチベーションを上げる必要もありません。

仕事の成果を生み出すのはモチベーションではありません。正しい行動を、継続して行う事なのです。

仕事を楽しくしたければ、仕事がデキるようになれ

結局のところ、何からはじめれば良いのか。最初に行うべきことは「業務遂行に必要な基本的な能力を高めること」です。

結果を生み出すために必要な行動、その量と質を明確にし、それを実行するために求められる能力を特定します。そして、その能力が磨かれるように計画的に人材育成を行うのです。

能力向上に向けた教育投資を行い、能力の向上→目標達成という「結果」の獲得→仕事の面白さの実感→さらなる結果を求めた意欲の向上、という好循環を生み出すことが重要です。

モチベーションは、意図的に「上げる」ものではなく、適切な行動と結果の積み重ねによって自然と「上がる」ものなのです。研修においても、モチベーションを上げることを目的にするのではなく、職務遂行能力を上げ、それにより成果を上げることに焦点を上げることが有効です。

仕事がデキるようになれば、仕事が楽しくなる。

仕事が楽しくなれば、結果が出る。

結果が出れば、仕事はますます楽しくなり、ますます結果がでる。

原因と結果、目的と手段を正しく捉えて、仕事がデキるようになることに焦点を当てることこそが、個人の成長を促し、組織の業績へとつながっていくのです。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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