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スキル・心構え

2025.8.22

新規開拓しなくても売上は増やせる!営業のイメージを変えて売上を伸ばす方法

売上を伸ばすための基本構造

売上を伸ばす方法は数多くありますが、まずはその構造をシンプルに分解して考えることが大切です。基本的な公式としては「お客様の数 × 客単価」で売上が決まります。これは業種や業態を問わず共通する考え方です。もちろん、常連のお客様と単発利用のお客様では単価が大きく異なることもありますので、ここでは平均的な数値で考えることになります。

お客様の種類は大きく分けて「新規顧客」と「既存顧客」に分類できます。新規顧客はこれから取引を創る必要があり、既存顧客はすでに取引のある方です。この二つは同じ「顧客」でも性質が大きく異なるため、戦略も分けて考える必要があります。

営業活動というと、おそらく多くの人が思い浮かべるのは、まだ会ったこともない人に自己紹介をし、仕事をお願いする「新規開拓」営業です。実際、これを想像すると抵抗を感じる方も多いでしょう。筆者自身も、そのような飛び込み型の新規開拓営業は決して得意ではありませんし、あまり好んでやることはありません。

売上を安定させるためには「攻め」だけでなく「守り」も有効です。今いるお客様との取引を来年も、再来年も、その先も続けていくことができれば、少なくとも現在の売上は維持されます。逆に取引が途切れてしまえば、その分をさらに新規開拓で補う必要が生じます。新規顧客を得るためには膨大なエネルギーとコストがかかるため、その負担を最小限に抑えるには、既存顧客の満足度を高め、信頼関係を積み重ねていくことが不可欠です。

客単価を上げるという戦略

新規顧客を獲得できず、仮にお客様の数が一定であったとしても、売上を上げることは可能です。その方法の一つが客単価を上げることです。筆者自身がこれまで取り組んできた経営計画は、この「客単価アップ」を主軸にしたものでした。

講師業の世界では、ある程度の相場が存在します。他の研修会社やコンサルティング会社から受託する講師料の相場は1日あたり約10万円です。しかし、私の会社で顧客から直接契約をいただく場合には、その3倍の約30万円でご提供いたします。

もちろん営業活動や請求書の発行、事務処理まですべてを自分で行う必要があり、その分の手間はかかります。しかし、外部の仲介を通すと20万円近くが差し引かれることを考えると、自社案件を創出した方が良いと判断し、自らマーケティングや営業を行うようになりました。もし受託案件の講師料が20万円くらいだったら、私は自社営業をしなかったかもしれません。

自分が動ける時間は限られていますから、稼働量が最高レベルにまで達したとすると、案件数を増やすことで売上をさらに伸ばすのは困難です。しかし、客単価を上げることで売上をさらに伸ばすことができます。

実際、筆者は初年度の1,600万円から今期2,800万円まで、3年間という比較的短期間で売上を伸ばすことができました。客単価を上げることは、売上向上において最も効果的で、かつ比較的取り組みやすい方法の一つだと言えます。

単価アップのモデル構築

客単価をさらに細かく分解すると、「案件数」と「1案件あたりの単価」に分けられます。例えば、既存のお客様から新たな案件をプラスでいただくことで、顧客数を増やさずとも売上を伸ばすことができます。また、一件あたりの単価そのものを引き上げることができれば、さらに大きな効果が期待できます。(ただし、単価の引き上げは決して容易ではないため、長い目で段階的に取り組む必要があります)

私が最終的に目指しているのは、私指名でのご依頼には「指名料」を上乗せして料金を設定し、必ずしも私でなくても構わない案件は、パートナー講師に任せるというモデルです。例えば、通常の案件はパートナーが通常価格で対応し、私が指名された場合はプラス10〜20万円をいただくという形態です。こうした仕組みを構築すれば、自分のブランド力をもとに案件単価を上げることができ、稼働の限界を超えて売上を伸ばすことができます。それに、これまで投じてきたブランディングに関わる投資を回収するためには、ゆくゆくは案件単価を高額にしていく必要があるのです。

このように、売上を伸ばすために、必ずしも新規顧客の獲得が必須になるわけではありません。既存顧客を維持し、客単価を上げていくことで、売上を伸ばしていくことが可能です。もちろん、さらに拡大路線を目指すのであれば、新規顧客の開拓を完全にゼロにすることはできません。それに、既存のお客様が廃業したり、他社と合併したりといった事情で取引が終了する可能性もあります。そのため、一定の新規開拓活動は必要ですが、できる限り効率よく進めることが求められます。

提供価値を最大化する重要性

既存顧客との取引を継続するためにも、新規顧客からリピートをいただくためにも、欠かすことのできないものがあります。それは、「お客様が支払う金額以上の価値を提供する」という仕事の姿勢です。

ビジネスは価値の交換です。どのような業種・業態であったとしても、お客様は何かしらの「痛みを避ける」または「快楽を得る」ためにお金を支払ってくださいます。支払った金額と受け取った価値が等しい場合、それは「顧客満足」という状態です。しかし、この状態は決して悪くはないものの、リピートや口コミによる広がりは期待しづらいのです。なぜなら、支払う額と受け取る価値が等しいのは、顧客からすれば「普通」のことだからです。

例えば、あるレストランで食事をして「普通に美味しかった」と感じた場合、そのお客様が再訪してくれるかどうかは五分五分です。行くかもしれないし、行かないかもしれない。「普通」だからです。これが支払った金額と価値が釣り合っている状態であり、可もなく不可もない「普通の存在」という認識です。

筆者が目指すのは、その上の「顧客感動」の領域です。「この値段でこんなに美味しくていいんですか?」「こんなにサービスしてくれるんですか?」と感じてもらえる体験を提供できれば、お客様は間違いなくリピートしてくれますし、他の人にも勧めたくなるでしょう。そうなるのは、価格以上の価値をお客様が受け取っているからであり、これが結果として長期的な売上の安定につながります。

顧客満足を超える「顧客感動」の重要性

本当に売上を伸ばし続けるためには、「顧客満足」ではなく「顧客感動」を目指す必要があります。顧客感動とは、「この価格でここまでやってくれるのか」と感じさせるような、期待を超える体験を提供することです。

例えば、同じ価格帯の飲食店でも、味や接客、雰囲気などが他店よりも上回っていれば、顧客は自然と再来店し、周囲にも勧めたくなります。これが「顧客感動の連鎖」であり、売上の安定と拡大につながります。

反対に、支払った金額に見合わない価値しか提供できなければ、「顧客不満足」となります。この場合、再利用どころか悪い口コミを残されるリスクも高まります。さらには、悪意を持って、お客様が支払う価値を下回るような商品やサービスを提供するのは、もはや詐欺行為であり、長期的にはビジネスが成り立たなくなります。

そして、既存顧客を守るために大切なのは、無理をしてまで過剰なサービスをすることではなく、日々の小さなプラスを積み上げることです。プラス1%や2%の追加サービスや配慮を積み重ねることで、「この人にならまた頼みたい」「このお店ならまた来たい」という期待と信頼が生まれます。この積み重ねが、顧客離れを防ぎ、結果的に売上を守る「ディフェンス力」となるのです。

新規開拓と既存顧客戦略のバランス

もちろん、どれだけ既存顧客を大切にしても、相手の廃業や業態変更など外部要因で取引が終了することはあります。そのため、新規顧客開拓の活動はゼロにはできません。しかし、売上を増やすために無理な新規開拓ばかりに注力するのではなく、既存顧客の維持と単価向上、案件数増加という3つの要素をバランス良く強化することが重要です。

売上を上げる方法は複数あります。事業を拡大したいからといって、必ずしも真っ先に「新規開拓」を想像して、営業活動に尻込みする必要はありません。常に顧客の期待を上回る商品やサービスを提供し、既存顧客との関係を維持した上で、取引の種類や数、そして1件あたりの単価を上げて、同じ顧客数であっても売上を伸ばすことが可能なのです。

ぜひ、あなたも、自分の会社・組織や自分自身のビジネスの構造に目を向け、限られた時間や労力の中で、戦略的に売上を伸ばすシナリオを考えてみてください。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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