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創造性・創造的思考

2025.12.26

もし、あなたがこの先100年間、若くて健康な肉体のまま生き続け、銀行口座に無限の貯蓄があるとしたら、何をしたいですか?

「どうせ無理の壁」が革新を阻む

環境変化が激しい現代において、「固定観念を捨てろ」「前例に囚われるな」「ゼロベースで考えよう」という言葉をよく耳にします。しかし、実際にゼロベースで考えようとしても、なかなか良いアイデアが出てこないという経験はないでしょうか。

その理由は、無意識のうちに「どうせ無理の壁」が私たちの思考を邪魔しているからです。「お金がない」「時間がない」「もう若くない」「協力してくれる人がいない」「上司に反対される」といった制約が、知らず知らずのうちに思考の枷となっています。

せっかくアイデアが浮かんでも、どうせ無理の壁が立ちはだかり、「やっぱり無理だ」「できっこない」と引っ込めてしまうのです。この自覚のないプロセスが、会議などで「何か意見はないか」と問われても「特にありません」という反応につながってしまいます。

ゼロベースで物事を考えるためには、まずこの「どうせ無理の壁」を取り払う必要があります。お金、時間、人間関係などあらゆる制約を一旦すべて取り払い、「本来はどうあるべきなのか」を考える練習が必要なのです。

「もし、100年間の不老不死と無限の資源があったら」

研修でゼロベース思考の練習を行う際、次のような問いを投げかけます。

もし、あなたがこの先100年間、若くて健康な肉体のまま生き続け、銀行口座に無限の貯蓄があるとしたら、何をしたいですか?

これは完全な不老不死の状態で、お金はいくらでも使えるという設定です。まさに「どうせ無理の壁」を完全に取り払った状態で、何でもできるとしたら、何をやってみたいかを考えるのです。参加者には最低でも10個、できれば20個以上のやりたいことを書き出してもらいます。

すると、豪華な家に住みたい、高級車に乗りたい、世界一周旅行に行きたい、仕事を辞めて趣味に没頭したい、大学に行って勉強し直したいなど、様々な願望が出てきます。普段は「どうせ無理」と蓋をしていた本音が、この仮定の下では自由に表現されるのです。

3つの重要なフィードバック

一通り書き終わった後、私は参加者の方々に、3つのフィードバックを行っています。一見すると馬鹿馬鹿しい架空の設定で自由に考える機会を通じて、以下のことに気づいていただきたいのです。

1.やろうと思えば今すぐできることはないか

1つ目は「やろうと思えば今すぐできることはないか」という問いです。

制約を取り払って考えた時には様々なやりたいことが出てきますが、その中には実は「やる気になれば、今すぐできること」も含まれています。確かに若くて健康でなければできないこと、お金がなければできないこともあるでしょう。しかし、20個も書き出した中には、今やろうと思えばできることもあるはずです。

私たちは、お金がない、時間がない、若くないといったできない理由を並べて、挑戦する勇気を持たないことを正当化してしまいがちです。しかし、勉強することや友人に会いに行くことなどは、お金がなくても今すぐできることではないでしょうか。

一旦制約を取り払ってやりたいことを書き出した後、「これだったら今でもできる」という気づきを得て現実に戻ってくる。そうすると、普段は表に出す勇気が持てなかったもの、できない理由を考えて蓋をしていた本音が見えてくるのです。

そして、私たちは今後もずっと年を取り続けていくのですから、少なくとも「一番若いのは今」なのです。今できるのであれば、今やればいいという気づきを得ることができます。

2.もっと長期的な目線を持てないか

2つ目は「もっと長期的な目線を持てないか」という問いです。

高級車に乗りたい、豪華な家に住みたい、旅行に行きたいといった願望は、1年や2年でほとんど達成できてしまいます。しかし、若くて健康なまま100年間生き続けるのです。残りの98年間を何をして過ごすのでしょうか。

私たちは、数十年かけないとできないようなことを、日頃から考えていません。なぜなら、「どうせ無理の壁」があるからです。そんなことを考えても、実現できるわけがないと思っているため、長期的な視点での目標を持っていないのです。それよりも目先のことで精一杯。目の前のことに対処することで頭がいっぱいなので、長い目で取り組むことを考えることに慣れていないのです。

しかし、本当に偉大なこと、大事なことは、数ヶ月や1年で達成できるようなものではありません。長い時間をかけて取り組む必要があります。そして、職場を率いるリーダーには長期的な目線が必要です。

目の前の仕事は現場の人たちに頑張ってもらい、リーダーはその先を見据える必要があります。今すぐどうこうというわけではないけれど、このまま放置すると何年後、十何年後かに困ることになる。だから、今のうちに手を打っておく。そういう思考回路が求められるのです。

3.他人のために資源を使えないか

3つ目は「自分の欲を満たすだけでなく、他人のために資源を使えないか」という問いです。

豪華な家、高級車、海外旅行や世界一周旅行、勉強といった願望は、すべて自分の欲を満たすものです。もちろん、自分の欲を満たすことは大事です。自分が満たされないうちは、他人を満たそうとは思えません。まずは自分の欲を満たすことが先決です。

しかし、自分の欲を満たすのは、おそらく1年や2年で達成できてしまいます。残りの98年間を何をして過ごすのでしょうか。自分の欲が満たされたら、若くて健康な肉体と無限のお金を「他人のために使う」という視点に移行できるかどうか。利己から利他へと目を向けられるかどうかが、優れたリーダーになれるかどうかの大きな分かれ目だと考えています。

(具体例)無限の資源で社会をどう変えるか

私にもしこの条件があれば、やりたいことは無数にあります。例えば、日本の主要企業の株式を無限の資金で買い付け、議決権を持つ株主になります。そして、短期的に成果を上げて配当を得ようとするのではなく、長期的な成功を得るために人的資源にもっと投資をしてもらいます。

具体的には、給与水準を上げたり、非正規雇用で働いている方々を正規雇用に転換したりするのです。これだけで賃金問題がかなり解決でき、社会の格差是正にもつながります。

短期的には人件費が上がって会社に損失を与えるかもしれませんが、無限の資金があるのですから出資を続ければよいのです。そのうちに、正規雇用された方々に必要な教育を施し、優秀な人材に育て、会社が利益を上げられるようになり、自力で立てるようにします。日本は失われた30年から脱却し、賃金が上がって、コスト要因ではなく需要要因で物価が上がる、まともな経済に変わっていくことができるのです。

他にも、外国人に買われている土地を無限の資金で買い戻し、神社仏閣や山林を守ることもできます。テレビ局や新聞社の株式を買い占めて議決権を持ち、経営陣を刷新して偏向報道を是正することも可能です。日本の国益を損ねたり、外国の利益に資するような報道を止めさせることができます。

財団を設立して、保育園や学校の教員、福祉や介護で働く方々などの賃金を上げ、社会インフラを強化することで日本の治安と安定を支えることもできます。本質的な子育て支援を行い、少子高齢化に歯止めをかけることも可能です。

さらに政治団体を立ち上げ、無限の資金を使って優秀な人材を集め、候補者として擁立し、選挙活動に資金を投入して、国政選挙も地方選挙も勝利を重ねる。

そして、日本の国益を損ねたり外国の利益に資する活動をしている議員を追い出すこともできるでしょう。マスコミの是正と同様に、司法のおかしな部分も是正し、裁判官の国籍条項を復活させるなど、世の中の理不尽をどんどん正していくことができるのです。

お金があればできることはたくさんあります。しかし、日頃からそういうことを考えていないと、仮定で考えて「どうせ無理の壁」を取り払ってもなかなか出てきません。だからこそ、自分の欲を満たすだけでなく、自分の持っている資源を人様のために何に使っていくかを日頃から考えることが大切なのです。そういう視点を持つ人が、優れたリーダーになっていくのです。

まとめ:本来あるべき姿から今できることを見つける

自分が本当に何をするべきかは、制限を解除して、ゼロベースで考えることから始まります。

様々なことを考えた中で、次に「今の自分にできることは何か」を考えるのです。大企業やマスコミの株式を買い占めたり、財団を立ち上げたりすることは、今の私にはできないかもしれません。しかし、世の中でおかしいと思うことについて、SNSやYouTubeで発信することは今できることです。自分の影響力の範囲内で、今できることをやっていく。

ただし、「何をしていくべきか」は、「本来どうあるべきか」を考えた後でなければ見えてきません。リーダーの役割は、ビジョン、あるべき姿を掲げて、そこに向けて実際に一歩を進めることです。そのためには、まず「本来どうあるべきなのか」を思い描く必要があります。

「どうせ無理の壁」を取り払い、本来はどうあって欲しいのか、どうあるべきなのかを考えることで、資源がなくても今すぐやろうと思えばできることに気づいたり、短期的な目線から長期的な目線へと考えが及ぶようになったり、自分の欲だけでなく他人のために自分の資源を使えないかという視点が生まれたりするのです。

ぜひ、このゼロベース思考の練習として、「何でもありだったらどんなことをやりたいか」を考える訓練を繰り返していただければと思います。周囲に影響を与える人になるための第一歩は、制約のない思考から始まるのです。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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