【批判覚悟】愚策が続くのは、私たち一般市民の知性が欠けているからです

*あまりこの話題に触れたくなかったのですが、いい加減そろそろ鬱積してきたので、批判覚悟で書くことにしました

東京・京都・大阪・兵庫に発令されていた緊急事態宣言が5月末まで延長。対象地域に愛知と福岡加わり、週末には北海道、広島、岡山まで拡大。まん延防止措置も延長となり、対象地域がさらに広がっています。自治体独自の緊急事態宣言を発令している地域もあります。

政府や自治体がなさっていることすべてを批判するつもりもないですし、利害関係者が多すぎて調整に一苦労であることもお察しします。それでも、やはり申し上げたい。他にやりようがあるだろうと。

まだ感染拡大が本格化する前の昨年2月、安宅先生がコロナウィルスと共生する期間が長く続くだろうとして「withコロナ」という概念を早々に提唱されました。それからすでに1年以上が経過し、共存するどころか翻弄され続けています。

いつまでこんな我慢大会を終わるアテもなく延々と続けるのでしょう。目標にも計画にも定量表現がまるでない。目標管理として提出したら面談で上司からボロクソに指導されるレベルの感覚的であいまいな施策。KPIも設定されていないので、行動レベルでどこも目指しようがない。

問題の原因は何なのでしょう。行政が悪いのか。マスコミが悪いのか。どこかの利権団体が悪いのか。

それもあるかもしれませんが、一番最大の原因は、私たち一般市民の知性が欠けているからです。一般市民が理知的で、冷静な判断ができ、それを態度と行動で示せるのであれば、行政もマスコミも利権団体も、適当な行動をとったり、好きなように振る舞うことができなくなるはずです。

一部の問題を解決するために、全体を犠牲にしている

緊急事態宣言の影響で、今年も予定していた仕事のいくつかを失いました。個人事業主にとって、単月で数十万円の利益損失は本当に痛いです。

それでも私はまだ良い方。オンラインで実施できるものもあるので、なんとか仕事は確保できています。休業や縮小を要請されたり、「空気」でプレッシャーをかけられたりして、どうにもならない業種、業界に属する方が大勢いらっしゃいます。誰しもに生活があります。いったいいつまで持ち堪えられることやら。

飲食業への休業要請は個人的にも辛い。退職した会社の送別会がなかったことは、まだ仕方がないでしょう。さすがに今の状況では、大人数で集まっての宴会は憚られます。それでも、お世話になった方や教えを乞いたい方、東京を離れる前にご挨拶をしておきたい方などと、2−3人の少人数で食事をするくらいの機会は欲しいところです。残念ながらそれすらも叶いません。

大騒ぎする気も、大酒飲む気も毛頭もなく、食事と多少のお酒で楽しく会話したいだけです。マスクつけて話をしたって構いません。休業要請はもとより、時短営業でも、それすら実現が難しい。日中に懸命に仕事をしている人は、知人と会って食事をすることすら許されないのでしょうか。

お店側も多くが感染対策をしっかりされています。お店と利用客の両方が注意を払ってお話しする分には、感染リスクはそう高くないのではないでしょうか。後述の通り、大部分の人にとっては感染しない、もしくは感染しても影響がないレベルのウィルスです。

結局のところ、一部の残念なお店で、一部の残念な客が、残念な飲み方をしてクラスターが発生し、その影響が飲食業すべてに波及しているだけです。嘆かわしい現象です。宴会やパーティーを開いていた、例の政治家さんや官僚さんたちには何か処分があったのでしょうか。大して問題視してない証でしょう。こんな一貫性のなさで秩序が保たれるわけがない。

かつて、馬刺しが禁じられるようになった経緯にとても似ています。食中毒を起こした、管理のずさんなわずか一店の飲食店のとばっちりで、全国どのお店でも生の馬刺しを提供することができなくなった。馬刺し好きとしては、馬刺しを返してくれと嘆きたくなります。

昨年の今頃は、まだ新型コロナウィルスに対して未知の部分も多かったため、事態の悪化を鎮静化し、対策を講じるためには社会・経済活動を停止しなければならなかったことは十分に理解しています。

しかし、それから一年が経過し、罹患しても大部分は無症状であることが判明しています。決して数の問題ではなく、重症になった方は気の毒ですし、亡くなった方にはお悔やみを申し上げますが、それでも少なくとも日本に関しては、もはや大騒ぎするほどの脅威ではないと判断できます。マスク着用とアルコール消毒は継続するにしても、後は普通に生活しましょうよと言いたいです。

本当に、緊急事態宣言が必要なのでしょうか。
ここまで社会・経済の活動を止める必要があるのでしょうか。

死亡者数で考えれば、交通事故、自殺、(コロナ以前の)インフルエンザの方がはるかに多いです。しかし、交通事故を減らすために自動車走行を制限したり、自殺者を減らすために社会福祉を増強したり、インフルエンザ対策で休業要請や時短要請をしようという話には決してなりません。コロナだけが特別扱いです。指定感染症だからでしょうか。まだワクチンが行き渡っていないからでしょうか。

罹患したら確実に重症化したり、死亡したりするならまだ話はわかります。完全に活動を停止して、ウィルスの根絶に全力を注がなければならないでしょう。しかし、このウィルスは健康体に対しては、圧倒的に多くの場合は無自覚・無症状だとされています。そして、ご高齢の方や疾患をお持ちの方の症状悪化リスクが極端に高いこともすでにわかっています。

本当に感染拡大を防ぎたいなら、感染リスクの高い方を限定して行動を制限し(その分、ケアやフォローに資源を多く配分し)、それ以外の人たちで「普通の生活」を続けながら集団免疫を獲得して、ウィルスの勢力を沈静化させる方がはるかに合理的だと思えます。

緊急事態宣言によって外出しなくなったり、他人と接しなくなったりすることで、かえって免疫が低下すると指摘する学者さんもいらっしゃいます。私もそう思います。物理的な外部接触はもちろんですが、「病は気から」というように、精神的ダメージで体調を崩す方もお見受けしています。これで若い人たちの免疫が低下して発症リスクが高まろうものなら、事態はますます最悪になります。

いま、幼児の屋内・屋外ともに遊び場もかなり制限されてしまっています。うちの2人の子どもも家で過ごす時間が多いです。これで免疫形成が阻害されて、風邪を引きやすい体質として大人になっていくことになったら、どうしてくれるんだという思いです。

でも、局所的な処置は講じてくれない。あくまでも全体に対して、必要以上にダメージの大きい施策を講じる。やりたくないのか、やる能力がないのか。すべて推察の域を出ないので明言はしませんが、思うところはあります。

いずれにせよ、問題解決という視点から考えれば、問題を引き起こしている原因の範囲や本質を特定して、局所的に資源を配分して対処するのが賢明な判断です。限定的な範囲の問題を解決するために、全体を犠牲にするのはあまりにもひどいと言わざるを得ません。

政治家を選んだのは一般市民です

政府や首長を揶揄する声も散見されますが、政治家さんはみな選挙で当選した方々です。選んだのは国民であり、住民です。

知事や市区町村長はともかく、議院内閣制だから首相は直接選べないと思うかもしれません。しかし、選ばれた人の中から選ばれているわけですから、間接的には私たちが選んでいることになります。(アメリカ大統領選挙だって、国民投票みたいに決めてるわけでなく、選挙人制度を通じて選んでいるので、最終決戦に辿り着く前に、各州の何十%という票数がそこで失効しているようなものです)

得票率が低かったり、組織票があったりして、地位がかなり守られている状態では、一般市民が政治家さんから舐められるのは当然のことです。政治家さんの不祥事がたびたび報道されますが、ごく一部の本当に深刻なものを除いては、ほとんどご本人にとって痛くも痒くもないでしょう。それでも次回また当選するのですから。

皆が選挙に行く。当選回数などの実績、露出度、他人からの紹介や推薦でなく、立候補者の思想や施策、知性、品格、熱意などを見て、誰に投票するかをを決める。たったこれだけで、今の政治の状況は一変するはずです。

政治を嘆く前に、政治に無頓着な一般市民を嘆くべきです。本当に、なんで選挙に行かない人があんなにいるのか理解ができません。「自分一人が行っても行かなくても変わらない」と考えているようであれば、それ自体が責任放棄です。たとえ政策がどんなに恣意的な愚策であったしても、選挙に行かない人には文句ひとつ言う資格はないと言えるでしょう。

病床が不足している?

「医療が逼迫しているから緊急事態宣言が必要だ」と言う声もあるでしょう。マスコミでしばしば「病床が足りない」「ベッドが足りない」という表現が使われるから、それを鵜呑みにする人がいるのかもしれませんが、ちょっと考えればわかるはずです。病床が足りないわけないでしょうと。

日本は先進国ですし、何より国民皆保険制度によって、世界トップレベルに医療が充実しています。何より、諸外国と比べて圧倒的に感染率、重症化率が低く、それで文字通りの「病床」が逼迫するわけがありません。

アメリカではワクチンを摂取したらマスクを外せる運用へと向かい始めています。政治的な意図もあるかもしれなせんが、それでもAFTERコロナへの大きな前進です。そして、この決断を下しているアメリカの状況は、現在の日本よりも高い水準で今なお感染者が発生し続けています。

医師会と政治との関係性など、私には知る由もありません。ただし、「火のないところに煙は立たない」という言葉もありもすので、そういうことなのだろうと捉えています。不足しているのは「病院のベッド」ではなく、「新型コロナウィルスに対応してくださる」病院や医院、医師、看護師の方々なのです。

もともと感染症対応をしている病院を除けば、コロナに対応できるようにするためにはかなりの設備投資が必要になるはずです。加えて、業務も身体的・精神的にキツくなるので、医師、特に看護師の方にもっと手厚い補償をしていただく必要があります。飲食店の休業補償に一律1日6万円も出すくらいなら、医院の設備投資に回したり、コロナに対峙してくださる看護師さんのお給料を3倍くらいにしてあげて欲しいくらいです。

そして、お金の面以上に重要なのが、生活面や精神面でのケア、サポートです。仮にお給料が3倍になったとしても、コロナ対応に従事してくださる医師や看護師の方は少ないかもしれません。コロナ治療の前線に立っていただくことで、ご自分の家族が職場や学校、保育園で冷や水を浴びせられるからです。

実際のところ、コロナ治療に赴くと子どもを保育園で預かってくれなくなるからと、断念せざるを得ないケースもあると聞きます。こういう方々が動けるようになるだけでも、いま言われている「医療逼迫」の状況は間違いなく改善するはずです。

そして、この状況を作り出しているのもまた、私たち一人ひとりの一般市民です。医療従事者の方々が一人でも多く、コロナ治療の前線に赴いていただくことが、今の状況を脱するための有効な対策なはずです。にもかかわらず、あろうことか、コロナ治療に貢献してくださる方々に、経敬意や感謝を示すどころか、むしろ冷遇する。

緊急事態宣言を招いているのは、一般市民だと言うことをもっと自覚しなければならないし、本来マスコミはこういう報道こそしなければならないはずです。

マスコミの報道は「娯楽」だと思って見ましょう

ところが、マスコミは来る日も来る日も新規感染者数ばかり取り上げる。そして、それに一喜一憂する。もういい加減にして欲しいと思うが、もう1年もこの状況が続いています。本当にうんざりです。

その原因は明確です。それに反応して一喜一憂する、私たち一般市民の視聴者が多いからです。誰も見向きもしなくなった時点で、この手の報道はピタッと止まります。マスコミさんの仕事は人の注目を集めることですから、注目が集まらなくなった時点で、誰も書かなくなるし、言わなくなります。

日々なされている報道は、正確に書くとこうなるはずです。

  • 昨日、国民の0.1%の人がPCR検査を受けました
  • そのうち3.7%の人が、陽性反応を示しました
  • そのうち20.7%の人が入院治療が必要で、0.05%の人が重傷者です
  • これまで、PCR検査を受けた方の0.09%の方が亡くなりました

さらに、少し恣意的に書くと、このような表現になります。

  • 昨日、国民のたった0.1%の人がPCR検査を受けました
  • そのうちわずか3.7%の人が、陽性反応を示しました
  • そのうち20.7%の人が入院治療が必要で、たった0.05%の人が重傷者です
  • これまで、PCR検査を受けた方のわずか0.09%の方が亡くなりました

これでは誰も関心を持って記事を見てくれないから、一番わかりやすい「新規感染者数」を取り上げて、いま大変な事態が起きているという「演出」をしているに過ぎません。

陽性者数、重症者数などが取り上げられますが、1日あたりにPCR検査を受けている方は全体の0.1%に過ぎません。この1年間で国民の10%近くの方がPCR検査を受けていますが、これは延べ人数なので、おそらく実数は1-2%さらに下がるでしょう。
(やや意図的ではありますが、下記の試算では重複している分を2.0%と仮定します)。

変異株の影響でここ数ヶ月の比率は少し悪化しているかもしれませんが、これまでの累計でざっくり考えると

PCR検査を一度も受けたことのない人 92.0%
+PCR検査を受けて、陰性だった人 7.7%
+PCR検査を受けて、陽性だったが治療を必要しない人 0.2%
= 99.9%

*上記の算出元データはすべて「厚生労働省 国内の発生状況など」より

日本人の99.9%の方にとっては、新型コロナウィルスに罹患していない、もしくは罹患しても無症状や無害、軽症、だということになります。全体のわずか0.01%の方々を救うために、緊急事態宣言の発令を繰り返し、子どもたちの遊び場、若者の青春、飲食業・観光業・小売業に従事する人々の夢が奪われていく。これがいまの現状です。

決して数の問題ではないのは承知しています。人数が少ないから、コロナで重傷になる方、亡くなる方を軽視するというわけではありません。しかし、緊急事態宣言を連発することで、コロナ以外で辛い思いをする方、亡くなる方はもっと大勢いるわけです。あくまで木だけでなく、森を見ましょうという話です。犠牲があまりにも大きすぎます。

新規感染者数以外にもしばしば、若くても重症化したケース、亡くなったケースの記事や特集を見かけます。それを見て「コロナは恐ろしいから、緊急事態宣言は仕方ない」というムードが強化されているようにも見えます。しかし、正直なところ、テレビのワイドショーで連日コロナ関連の報道をしているのを見ると、まるで国民全体をバ○にさせるように、洗脳しているようにしか思えません。

なぜニュース番組やワイドショーで取り上げるのかを考えてみれば、すぐわかるはずです。それが「珍しい出来事」からです。若くて重傷化したケース、死亡したケースは珍しい出来事だから取り上げられるのです。頻繁に起きること、日常的に起こるようになった時点で、マスコミは取り上げるのをやめます。誰も気にしないし、目を向けないからです。反応する人がいるから、やっているだけなのです。

彼らの仕事は人の注目を集めることなので、必然的に「滅多に起きないこと」が記事や特集になります。それを理解して、一次情報(客観的な事実・事象)を意図的に加工・演出した二次情報に過ぎないとわかった上で、あくまでも「娯楽」として楽しむ分にはテレビや週刊誌の報道も悪くないと思います。

残念ながら、もはやテレビも、新聞も、雑誌も、すでに報道の体を成していません。発信する情報の選択から、表現の仕方に至るまで、恣意的なものを感じるものばかり。純粋に「客観的な事実を、客観的な立場として伝えているものを聞きたい」というニーズは満たせなくなってしまいました。複数のメディアから同じニュースを見比べながら、自分で考えるしかありません。

この状況を生み出しているのは、紛れもなく一般市民です。マスコミを批判する声も聞きますが、世の中のニーズを満たし、売れるものを作り、お金になることを行っていくのが、彼らのビジネスです。

本当に嘆かわしいのは、自分の頭で物事を考えず、マスコミの報道を鵜呑みにして、一喜一憂してSNSでお祭り騒ぎする一般市民です。あるいは、池上さんや林先生のおっしゃることをすべて正しいと受け止めて、賢くなったつもりになる一般市民です。(お二人とも好きな方ですが、特定の一人が、しかも番組でおっしゃることをすべて鵜呑みにするのは危険です)

一般市民がみな冷静で、知的で、今のような報道に見向きもしなくなれば、マスコミも変わらざるを得ません。嘆かわしい状況はいっぱいありますが、それを生み出しているのは、すべて「一般市民」なのです。

データを見て、自分の頭で考えよう

もう数年前になりますが「FACTFULLNESS」という本がベストセラーになりました。いかに私たちが偏見や思い込みで世の中を見ているか。正しく物事を考えるには、事実やデータに基づいて論理的に事象を分析することが必要であることを説いた名著です。

FACTFULLNESS的に考えれば、いまの状況は明らかに大騒ぎしすぎです。一時期のアメリカやイタリア、スペインくらいの深刻さにでもなれば話は別ですが、少なくとも昨年の4−5月の緊急事態宣言以降は、基本的な感染対策を講じた上であれば、ほとんどの日常生活を取り戻して良いはずのレベルではないでしょうか。0.1%の世界の話なのですから。

恣意的に報道される断片的な情報に惑わされることなく、データを見て、自分の頭で考える。それに基づいた態度や行動を示していく。こうい人が数多くいるだけで、世の中の「おかしなこと」は次第に改善していくはずです。

世の中の数多くの嘆かわしい事象は、私たち一人ひとりの「考える力のなさ」に起因します。ただ文句を言っているだけで状況が改善するはずがありません。世の中を変えるには、まず自分からです。まずは私たち一人ひとりが、「より賢くなる」ための努力を重ねていくことが必要です。

私の事業のミッションは「デキる人を増やす」です。自分の頭で考えて、自ら行動する人。私自身も、それを目指して日々の活動をしておりますし、そういう人を一人でも多く増やしていきたい。今回、こうして今の状況を整理して書いてみることで、その思いはより一層強くなりました。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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