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2021.7.5
先週、無事に引越が完了し、神戸での新生活がスタートしました。
念願の「パパの書斎」もついに獲得。これまでシェアオフィスなどに行かねばならなかったオンラインの打合せなども、これからは自宅からできるようになります。いずれはYouTubeの撮影も自宅でできないかと検討中です。(さすがにホワイトボードを置くのは難しいかしら)
目次
コロナ以降、リモートワークが普及するに伴って、東京を離れたり、2拠点生活をはじめたりする方が増えていると耳にします。私の場合は必ずしもコロナがきっかけではないですし、神戸は十分に都会なので、こうした動きと同じというわけではありません。それでも、オンラインでできる仕事がこの一年で急激に増えたことは、独立や引越の決断に大きな影響を与えたことは否めません。
コロナ以前、顧客との商談は先方を訪問するのが通例でした。どんなにスケジュール繰りが厳しくても、対面で会うのが「前提」になっており、日程調整が難航すると面会時期を延期するということもしばしばでした。それが、コロナ以降、強制的に訪問面会ができなくなったことで、ここ1年で外部の方とオンラインで面会するのが「普通」になりました。合間の時間を使ってミーティングが組めるようになったことで、日程調整がはるかに楽になり、以前にも比べたら早期に面会をセッティングすることもできるようになりました。
もちろん、コンサル業を行う上では、現地に赴いて、話を伺ったり視察をしたりすることも欠かせず、今後も出張は一定程度のボリュームであるでしょうし、これからは東京案件が出張になるので短期的にはむしろ増えるかと思います。とはいえ、時間と場所を問わず仕事ができる環境が整いつつあるのは非常にありがたいです。コロナがある程度収束した後も、こうした働き方をする方は、一定以上残る、むしろ増えていくのではないかと思います。
コロナ以降、急速に普及したとされるリモートワークですが、メディアの記事を見たり、クライアントや知人の話を聞いたりしていると、思ったよりも導入が進んでいないようにお見受けします。
リモートワークの導入が進まない理由としては、下記の5つが考えられます。
店舗での販売、施設でのサービス提供、工場での生産など、商品やサービスの生産・提供に物理的な場所を必要とする仕事の場合は、当然ながらリモートワークができません。こうした業種・業態による制約は致し方ないですし、むしろ通勤勤務をしていただいていることに感謝と敬意を申し上げるばかりです。
情報システムの構築環境により、社外から業務データにアクセスできない場合は、たとえリモートワークをしたくてもできる環境にありません。一見すると情報セキュリティの問題のように見えますが、実のところサーバーや通信技術、ソフトウェアなどシステムの構成が古いために、データにアクセスできないというケースも多いです。
古いシステムをこのまま使い続けると、システムの維持管理に多大なコストを要することになるとされる「2025年の崖」と呼ばれる問題があります。リモートワークをする、しないに関わらず、情報システムを新技術に刷新しなければ、事業運営に大きな負担がかかることになります。情報システムをオープンシステムに刷新することで、結果的に社外からのデータアクセスが可能になり、リモートワークができるようになります。
「目の前に部下がいないと管理ができない」という固定観念や能力不足から、リモートワークができる環境にあるのにやらないケースも散見されます。
出社勤務とリモートワークの違いは、単にコミュニケーションツールが異なるだけであり、どちらであろうとマネジメントの目的や機能に変わりがありません。また、マネジメントとは本来、事前に立てた計画に基づき、進捗管理と軌道修正を行っていくことです。目の前にいる部下に対処するのは事後対応であり、このスタイルでなければ仕事ができないのは上司側、部下側ともに管理能力が不足していることを意味します。
この場合、むしろリモートワークに取り組むことが、逆説的に組織のマネジメント能力や個人の自己管理能力を高めることにつながります。
リアル勤務とリモート勤務のマネジメントに違いはあるのか
「うちの会社はリモートワークできない」という思考停止
組織側ではリモートワークができる環境が整っていても、個人側の事情でできない場合もあります。
自宅でリモートワークを行う場合、仕事を行うための部屋やデスク、チェアが必要になります。住宅事情によっては、こうした環境を家の中に構築するのが難しい場合もあります。短時間ならともかく、朝から晩まで仕事をする場合、ダイニングチェアに座り続けるのは厳しいです。長時間座れるような椅子が必要です。
たとえスペースや設備があったとしても、夫婦共働きでともにリモートワークの場合、環境が2つ必要になります。オンライン会議の時間が重なった場合などは、お互いの声がノイズになって集中できないこともあるでしょう。また、幼い子どもがいる場合、仕事スペースに出入りしたり、大きな声で話す、泣くなどして集中できないことも考えられます。
しかし、必ずしもリモートワーク=在宅勤務ではありません。シェアオフィスやサテライトオフィスを利用するなど、遠く離れた勤務先ではなく、自宅の近くの別場所で仕事をすることもリモートワークに含まれます。
私自身も、住宅事情や子どもが幼いこともあり、在宅でのテレワークはできる状況にありませんでした。そのため、シェアオフィスの会員になり、そこに通うような形で仕事をしていました。場所に移動するため「通勤」は必要になりますが、住居に近い場所なので時間はかなり短くて済みます。組織務めの人にも使いやすい、従量課金制で安価に使用できるサービスも数多くあります。
コロナ以降、いろいろな方に話を伺っていると、一人で静かな場所で仕事をするのが性格的に向かない方もいらっしゃるようです。周囲の人とコミュニケーションを取りながら進めた方が仕事がはかどるようです。こうした方は確かにリモートワークには向かないかもしれません。組織の皆がこういうタイプの方であれば、出社勤務を前提にした働き方を継続した方が良いと考えられます。
とはいえ、実際にはリモートワークに向いている人と向かない人が組織の中でも混在しているケースが多いと考えられます。お互いを尊重できるよう、出社日を決めるなど、出社勤務とリモートワークを併用していくことが現実的だと思います。
むしろ問題なのは、リモートワークをやりたい意思はあるのに、自己管理能力が乏しくて仕事がはかどらないタイプの方です。リモートワークで働くためには、自分で計画を立てたり、自分で決めたことをやりきるよう、自分自身に規律を課したりする能力が求められます。
リモートワークになってから、むしろ生産性が低下したとされているレポートもあるようです。リモートワークに適応するまでには慣れも必要です。慣れないことができないようになるためには、一定の経験が必要になります。察するに、これらのレポートの回答者は、リモートワークを安定して行えるようになるまで、組織のルールや体制の整備、個人の経験の蓄積が不十分なのではないかと思います。
YouTubeの最初の配信で、これからの時代に最も重要なスキルはセルフマネジメント能力(自己管理能力)だと申し上げました。
リモートワークはもとより、兼業や副業、複業など、これから働き方はますます多様化していきます。時間をはじめ限られた資源をどのように効果的、効率的に分配していくか。私たち一人ひとりに高い自己管理能力が求められるようになっていきます。
リモートワークと出社勤務。どちらにもメリット/デメリットがあります。今後は業務の目的やその都度の状況に応じて勤務形態を使い分ける「バイブリッド型」が主流になっていくと考えられます。今はまだコロナウイルスへの防御策として、リモートワークを実施しているケースもあるかもしれませんが、コロナ収束後にはリモートワークは多様な働き方の選択肢の一つとして、任意で選んで実施していくことになります。
時間と場所を問わずに仕事ができるリモートワークは、優秀な人材を採用したり、定着してもらったり、生産性を上げたりする上で、とても有効な選択肢です。業務内容や組織編成を考慮した上で、あえて出社勤務を継続するのは悪くはありません。しかし、リモートワークができた方が望ましいのに環境や能力の面で「したくてもできない」という状況に陥るのは、組織の業績や個人のキャリア形成面において、大きなハンデになっていくのではないかと私は考えます。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。