目標達成
2016.1.21
前回の投稿で、目標達成を可能にする要因の1つ目として「本気度」についてお話ししました。
今回は2つ目の要因である「計画」について考えていきます。
目次
どれだけ本気度が高くても、それだけでは目標達成を確実にするのは困難です。
本気度は行動するためのエネルギー源ですので、何かをする上では最初に必要になるものですが、
どれだけ十分な量と質の行動を重ねたとしても、やってること自体が間違っていたら、当然のことながら、欲しい結果は手に入らなくなります。
極端な例ですが、どれだけキャッチボールを練習しても、サッカー選手にはなれませんし、どれだけ電子工学を学んでも、弁護士にはなれません。
目標達成を果たすには、それに見合った行動をとる必要があります。
「目標を達成させるために、具体的に何をしていくのか?」
これを決めていくことが計画です。
なぜ計画が必要なのでしょうか?
それは
「すべての行動は、実際に行動をする前に、頭の中で一度行われる」
からです。
まず、頭の中で行動の内容や手順を思い描く。
それから、現実世界において、思い描いたことを再現する。
壮大な目標達成に取り組むのも、食事やトイレ、買い物などの日常のことをするのも原理は同じです。
行動は「頭の中」と「現実」で2回行われます。
その橋渡しの役割をするのが計画なのです。
スポーツの世界では「イメージトレーニング」というものがあります。
試合に勝利したり、ベストのパフォーマンスをしている自分の姿を頭の中で繰り返しイメージすると、実際にそうできるようになるというものです。
潜在意識(無意識)は「頭の中で繰り広げている世界」と「現実の世界」の矛盾や不一致を解消するように働くので、目標を達成している姿が明確に刻み込まれ、それを信じて疑わないレベルにまで昇華できたら、実際にそうなるような行動をするように自分自身を仕向けていきます。
また、目標達成を確実にするためには、最終的なゴールではなく、その過程もなるべくハッキリと思い描いていく必要があります。
勝利して喜んでいる姿だけではなく、野球ならボールを握っている感触、サッカーなら蹴った感覚、水泳なら水を蹴る感覚、柔道なら相手の道着を掴んでいる感覚…
実現に至るまでの細かな描写をするほどに、脳や無意識は
「これは、実現しなければならないことだ」
と認識するようになり、それを現実のものとするよう自分自身を知らずのうちに導いていくのです。
「願えば叶う」「思うは招く」というのは、イメージと現実の不一致を解消しようとする無意識の働きを表した言葉だと言えます。
自分が「できる」と信じて疑わないことは、何度でも現実に再現できるようになります。
例えば、
・二本足で歩く
・箸を使って食事をする
・トイレで用を足す
・自転車に乗る
これらは、大人になった今では、できるのが当たり前と思えるようなことばかりです。
できない姿は想像できませんし、やろうと思えばすぐにできます。
しかし、どれ一つとっても、はじめからできたわけではありません。
何度も挑戦し、失敗を重ね、学習を繰り返す中で、失敗要因をすべて取り除いていくのです。
そして、やがて失敗体験が成功体験に転じ、「これはできることだ」と脳や無意識が認識した時、
できるのが当然になり、できている姿を迷いもなく容易に描写することができます。
これが「信じて疑わない状態」です。
あらゆる目標達成は「信じて疑わない状態」にたどり着ければ、現実に再現可能になると言えます。
・・・と、理屈ではそうなのですが、実際はそう簡単にはうまくいかないことが多いです。
なぜなら、現実には、頭の中で想定していなかった事態が次々と起こるからです。
思い描いたことを実現するためには、実現に至る過程をイメージ通りに「忠実に再現」する必要があります。
よほど慣れていることであれば、過去の経験から得た知恵を駆使して、現実の状態をイメージに引き戻すよう軌道修正するのですが、
知識や経験が不足している場合、軌道修正を行うことができず、「実現している姿」のイメージの信憑性が次第に薄れていくからです。
思い描いたイメージを自分自身が信じられなくなると、脳や無意識は
「それは実現しなくても良いことだ」
と認識するようになり、達成するように仕向けるのをやめてしまいます。
そして、実現できなくなってしまうのです。
とは言え、行動に移る段階で、起こり得るすべてのリスクを想定して排除するのは現実的ではありません。
そこで、不測の事態が生じた時や思い通りにならないときであっても、「実現できる」という自信を失うことがないように、信じるに足る「根拠」を作っておく必要があります。
その根拠を設計するのが計画づくりなのです。
計画は、実現を信じるための根拠となるものですから、信憑性が高ければ高いほうが良いです。
すなわち、「理に適っている」と思えるかどうかです。
そして、それは計画の「緻密さ」に現れます。工程を細かく、緻密に描いていく必要があります。
つまり、
計画の質=細分化の質
なのです。
目標が達成されるまでの過程が、細かに設計されているほど、実現の可能性も高くなります。
細分化されているほど、そのステップをリアルに思い描くことができるからです。
逆に、ステップが大雑把だと、その信憑性も薄くなります。
例えば、「資格試験に合格する」という目標を立てたとします。
これに対して、「毎日1時間を勉強にあてる」という計画を立てても、おそらく「合格」という結果は手に入りにくいでしょう。
「毎日1時間勉強することが、試験の合格につながる」という根拠がないからです。
そもそも、毎日1時間やっても試験範囲を網羅できるかどうか、これだけではわかりません。
そこで、資格試験のテキスト教材の総ページ数を確認し、それを試験日までの日数で割って、「1日○ページ」とすれば、少なくとも試験範囲を網羅できることは確認できます。
そして、1ページあたりの所要時間から算出した結果として「1時間」であれば、1日1時間の信憑性は高くなります。
平日は1時間を確保できない場合は平日30分・休日3時間にするなど、自分の状況に沿ってさらに細分化して設計すると、達成できる信憑性はさらに高くなります。
欲しい結果を取り違えないように留意することも大切です。
目的はテキストを全ページ読むことではなく、試験に合格することですから、
・合格率はどれくらいか
・合格した人は、どれくらい勉強していたのか
・模擬試験で何点取れれば、合格できる水準と言えるのか
など、情報をなるべく多く集め、それをクリアできるように計画を設計していきます。
試験日までにテキストを読み終えるだけでは不十分で、直前の1ヶ月は模擬試験をやるようにしよう・・・など、実現性を高めるプロセスを加えていくことによって、計画の信憑性は増していきます。
大事なことは、全部をつなげた時に「これなら、実現するに違いない」と思えるかどうかです。
ステップが大雑把でも、その過程がリアルにイメージできるなら問題ありません。
しかし、多くの場合、工程をなるべく細分化した方が、不透明な部分が減っていくので、根拠として信じられるようになります。
・計画をいかに細分化して作成できるか
・いかに信じられる計画を作れるか
・忠実に再現できる計画を作れるか
が、目標達成の現実味を大きく左右することになります。
とは言え、計画は細かく作れば作るほど、時間がかかります。
工程が細分化されているに越したことはありませんが、情報収集やシュミレーションにあまりにも時間がかけすぎてしまうと、チャンスを見逃してしまうこともあります。
また、十分な計画を作成するに足る情報を、始める前には集めきれないこともあります。
「やってみなければわからない」ということも、実際には数多くあります。
したがって、たとえ完成していなくても、ある程度の段階で計画を実行に移すことが、現実的には必要になってくることでしょう。
そして、どれだけ入念に計画を立てても、実際に行動し始めると、思い通りにいかないことが次々と起こります。
この時、計画が大雑把だと、次のステップに移るためにその障害にどう対処したらいいのかがわからなくなり、一気に行動が停滞しますが、
計画がある程度細分化されていれば、特定の領域を修正するだけで元のシナリオに戻れるので、軌道修正がしやすくなります。結果として、目標が達成しやすくなるのです。
どれくらいの完成度で計画を実行に移すかは、知識・スキル・経験・状況によりますが、
少なくとも「計画の質は、細分化の質に現れる」と意識するだけでも、計画の再現度が高くなることでしょう。
次回は、最後の一つである「数値化」についてお話いたします。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。