目標達成
2022.1.24
前回に引き続き、目標を達成させる5つのポイントについて解説していきます。
今回は4つ目となる「小さな変化からはじめる」についてご説明いたします。
▼これまでの流れはこちらから▼
目標達成のポイント1:目標達成に向けた行動を習慣化する
目標達成のポイント2:望む「結果」を作り出す「原因」をつくる
目標達成のポイント3:測定できるものは改善できる
具体的で明確な目標を設定したら、あとは達成にむけた計画を立て、実行に移していくのみです。ここで気をつけなければならないことは、いまの生活から急激に変化させようとせず、徐々に慣らしていくことです。
たとえば、資格試験に向けて勉強を始めようとする際に、初回から「毎日2時間」「休日に5時間」の勉強をするなどの計画を立ててしまうと、おそらく実行できるのは最初の1〜2回で、次第に長続きしなくなってしまうでしょう。運動をしようとランニングを「毎日3km」「週末に10km」計画したとしても、もともと走る習慣のなかった方にとっては、もはや最初の1回ですらとてもハードルが高く感じると思います。
目標設定前の生活パターンと後の生活パターンにギャップがありすぎるので、心理的、時間的に負担が大きすぎるのです。よほど強い達成意欲、どうしても成し遂げなければならない理由があれば続けられるかもしれませんが、そうでもない限り、しんどくて「もういいや」という気持ちになってしまうのです。
これは決して意志が弱いとか、性格的な問題があるというわけではありません。どんな人にも、急激な変化を避けようとする無意識の働きがあります。今までの生活パターン、行動パターンに戻ろうとするのは自然なことなのです。
変化に抵抗し、現状にとどまろうとする無意識の働きを「現状維持バイアス」と呼びます。何かを新しくはじめようとしたり、難しいことに挑戦しようとした時に「現状のままの方が良い」という気持ちが沸いて、行動の意欲を失わせてしまうのです。
この現状維持バイアスを引き起こす源になっているのが、コンフォートゾーン(心理的安心領域)です。自分が今まで見聞きしたものや経験したもの、つまり記憶の中にあるものから自分にとっての安心領域を作り出します。すでに記憶にあるものを安全として捉え、記憶にない未知のものを危険と判断します。生命を危険から守ろうとする深層意識(潜在意識)の働きが、現状維持バイアスとなって、コンフォートゾーンの中に自分をとどめさせようとするのです。
目標達成に向けた取り組みが、現状の生活パターン、行動パターンとかけ離れているほど、コンフォートゾーンに引き戻そうとする力が強く働きます。急激な変化を起こすのではなく、まず小さな変化からはじめて、徐々に負荷を強めていくというやり方の方が長続きします。
少しずつ始めたのでは目標達成に間に合わないのではないかと思われるかもしれません。しかし、日々の変化はたとえ小さいものであったとしても、それを継続していくことでやがて大きな変化へとなっていきます。
▼現状維持バイアスとコンフォートゾーンについては、こちらの動画で解説しています。▼
ちょっとだけ「プラスαの行動」を行う。これを積み重ねていくことが有効です。仕事のやり方をちょっとだけ変えてみる。いつもと違う店に入る。いつもと違うものを食べる。いつもと違うものを着る。数分間だけ本を読んでみる。普段見ないような動画を1本見てみる。
ほぼいつもと変わらない、ほんのちょっとの差。現状維持バイアスも働かない程度のわずかな違いです。しかし、一つひとつの行動は大したことのない小さな差であったとしても、これを毎日続けていくと、やがて大きな差が開いていくことになります。
今日の自分を100%とした時、その100%の自分が1%だけ何か新しいことを行う。すると、今日を終えた時点で 100% + 1% = 101% の自分になります。この101%の自分が、明日にまた1%だけ努力を行う。すると、101% × 101% = 102.01%の自分になることができます。これを仮に365日続けると、(100% + 1%)^365 ≒ 3,778%、つまり約38倍の自分になるのです。これを複利と呼びます。
最初の頃はあまり変化を感じない程度のなだからな変化をしていきます。しかし、ある一定の時点を超えると、急激に変化の割合が大きくなっていきます。これが複利を生み出す指数関数の特徴です。
一方、現状維持を続けるとどうなるでしょう。現状維持であれば100%のままでいると思うかもしれません。しかし、自分が何も変わっていなくても、世の中は毎日一歩ずつ前進しているのです。自分が何も変わらないということは、相対的にマイナス1(置いて行かれている)ことを意味します。(100% – 1%)^365 ≒ 2.5% です。つまり、現状維持のままでい続けるということは、自分の力は1年間で40分の1にまで低下してしまうことを意味します。
たったの1%。この微差が、時間の経過とともにやがて大差になるのです。
▼微差が大差になるという話について、こちらの動画で解説しています▼
毎日1%、プラスαの行動を行う。それを続けていくだけで、やがて目標達成に向けた取り組みは、飛躍的な進化を遂げていくことになります。では、このプラス1%をどのように具体化するのか。そこで私がお薦めしているのが「毎日15分、目標達成に向けた取り組みを行う」というものです。
1日は 24時間 × 60分 = 1,440分です。15分というのは1日の約1%に相当します。この15分を、自分にとって新しいことや難しいことに割り当てていくのです。
たかが15分でも、毎日続けると1ヶ月で7.5時間、1年間で90時間になります。平日だけ取り組んだとしても、1ヶ月で5.75時間、1年間で69時間です。ある一つの目標に向かって、69時間の行動をしたら、それなりの成果を得ることは十分に期待できます。
1日15分であれば、スマホやテレビを見たりする時間の一部を充てれば良いだけです。15分あれば、読書や勉強、筋トレなども十分できます。この15分を続けるだけでも長期的には大きな効果を得ることができますが、次第にこれに慣れてくると15分の行動はコンフォートゾーンの内側になるため、苦労とも努力とも感じなくなります。ずっと続けているので、それが当たり前になるのです。
この「当たり前になる」ということこそが、このシリーズの初回で申し上げた「習慣化」です。習慣になりさえすれば、15分を30分、1時間、それ以上へと広げていくことも可能です。
私自身、学校教育の学び直しとして、数学や理科、英語などの勉強を続けていますが、最初は1日15分からはじめました。もう何年も続けているので、いまはビジネススキルの学習も含めて、1日1時間以上は難なく自然に勉強を続けられています。しかも、現代はスマートフォンで簡単に動画視聴も読書もできるので、スキマ時間を活用して勉強ができます。まとまった時間を確保しなくても、1日1時間以上のインプットが容易に可能です。
人は大きな変化には本能的に抵抗を示すものです。小さな変化から始めていきましょう。日々の生活パターンを維持しながら、15分の時間の使い方を変えるだけで良いのです。微差は大差になります。まずは、目標達成に向けた行動が習慣になるまで、プラス1%を積み重ねていくのが有効です。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。