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2022.4.18
新入社員研修ウィークも先週でいったんひと段落。6月頃までは、テーマ別の単発研修やフォロー研修などもありますが、今週からは他の階層に向けた研修やコンサルティング案件が動きはじめます。
先週の新入社員研修で、前回のブログに書いた「仕事のはやさ」についてさっそく解説したところ、休憩時間中に新入社員の方からこんな質問をいただきました。
「仕事がはやくできるようになるために、何か他に心掛けることはありますか」
これに対し、まずは「量を意識して、たくさんの仕事を経験すること」と答えました。「量より質」という言葉もあるが、質の良し悪しはある程度の量を乗り越えた人にしかわからない。量より質というよりは、量から質なのです。
「量より質」ではなく、「量から質」
すると、次の質問として「量をたくさん経験するにはどうすれば良いか」と尋ねられました。こんなことを質問されるケースは稀で、あまり自分でも考えたことがなかったのですが、気づけばとっさにこう答えていました。
「仕事が自分のところに集まるようにすればいいんですよ」
無意識から湧いて出たような答えなのですが、改めて考えてみるとこれはコンサルタントになって以降7年間の、私の仕事への取り組み姿勢を端的に表す台詞だなと思いました。
コンサルタントに転身して、最初の1年ほどは私にはまったく仕事がありませんでした。見習い期間のようなものとは言え、ほぼまったく稼働していなかったので、実態としてはただの給料ドロボーです。せめて何か将来につながることをしようと、コンサルティングや研修の企画を考えたり、無人の会議室で講義の練習をしたり、それを撮影したビデオを見返したりしていました。
成果が出せるようになるまで待っていただいた会社には、ただただ感謝しかありません。お給料に見合う程度の働きができるようになったのは3年目から。それ以降は、いただいた投資へ返済するような気持ちで、数字にこだわって仕事をしていました。与えられた目標くらいは毎年ゆうに超えていたので、退職する頃には、後ろめたさを感じないほどには、会社にお返しできていたのではないかと考えています。
異業種からの未経験者です。経験や実績はなく、際立った能力もない。当然のごとく、当初は営業部隊からまったく相手にされませんでした。しかし、私とて早くコンサルタントとして活動したかったわけです。どんな仕事でもいいから、何か仕事をさせて欲しいという思いでした。そこで考えたのが、先輩方が断ったり、敬遠していたりする仕事、つまり「やりたがらない仕事」を進んで引き受けるという作戦です。
幸い、ほとんど仕事がない状態でしたので、1つの案件にたっぷりと時間を割くことができました。手間がかかり、効率も悪かったですが、まずは最初の1件の実績を作る。それを繰り返していくうちに、徐々に仕事が増えていきます。少しずつ実績ができ、経験が能力に変わり、できることが増えてくると自然と仕事の打診をいただけるようになりました。
こうして、0を1にして、1を10へ、10を100へとつなげていきました。その延長が現在です。おかげさまで、2022年3月現在での登壇実績は、481件・563日・受講者様のべ10,177名。登壇以外にも調査や分析、ツール開発、コンサルティングなどのお仕事もしているので、できることはかなり増えました。
実際のところ、大変ありがたいことに、いま私は仕事にまったくと言っていいほど困っていません。むしろ、すべてのオファーにお応えしていたら、スケジュールがパンクしてしまうので困っているくらいです。もちろん、自分のビジネスをより成長させるために、もっと単価を上げたり、領域を広げたり、専門性を高めたりとやりたいことはあります。
いまの状況に決して満足しているわけではないですが、不満というわけでもありません。少なくとも家族の生計を守るという点では、当面の不安はほとんどありません。私の身体が唯一の経営資源なので、自分の健康や不測の事態へのリスクはありますが、似たようなリスクはどんな事業でも抱えています。最悪の事態は想定しますが、日々戦々恐々と怯えるようなものでもありません。お請けしたた案件は当然すべて対応できるものとして、スケジュールのやりくりをしています。
今年はまだ4月ですが、口頭受注ベースではすでに今年の売上目標はクリアしており、後は12月まで粛々と納品していくだけです。もちろん、懇意にしていただいている方々のご配慮の賜物なのですが、こうして順調にお仕事の話をいただけているのは、私の仕事に対する考え方がうまく機能しているからだと考えています。駆け出しの頃から独立した現在に至るまで、私の仕事への基本スタンスは何も変わっていません。
それは、他人がやりたがらない仕事を進んでやるということです。
どんな人でも好んでやりたい案件には、下記のような共通した特徴があります。
当然ながら、こうした案件は争奪戦になります。楽だからです。むしろ、この逆の特徴を持つような案件は多くの人が敬遠します。
これらは、多少ムリをしなければ対応できないことも多いため、オファーを受けてもお断りする方も少なくないでしょう。だからこそ、そういう案件に進んで対応するようにすれば、仕事はいくらでもあるのです。
かといって、私がいつもムリをしているのかというと、そういうわけではありません。もちろん多少のストレスはかかりますが、7年もこういうスタンスで仕事をしているので、もはや私にとってはこういう案件に対応するのが「通常」の範囲に含まれます。
何よりこれまでに、こうした案件の「量」をこなしてきているので、他の方にとっては多大な負荷に感じるようなことでも、私にとっては「ちょっとした負荷」くらいの感覚で済んでいる可能性があります。すでに感覚がおかしくなっているとも言えますが、だからこそお仕事の相談を多くいただきますし、それを一度納品して高評価をいただければ、来年からはリピート案件になり得ます。産みの苦しみがあったとしても、その成果を転用できるようになるので、長期的には生産性も上がるのです。
それぞれについて、詳細を解説します。
例えば、「一週間後に提案」などスケジュール設定に無理がある場合、「無理」「間に合わない」と判断してオファーをお断りする方も少なくないでしょう。ただし、それは無意識のうちに「先方のニーズに100%合致したものを提案しなければならない」という前提で考えている表れだとも言えます。
私の場合、自分の過去の実績の中に、要件に70%くらい合致するものがあれば、いったんそれを提示するようにしています。それではニーズを満たしていないではないかと考えるかもしれませんが、ニーズを満たす要件は内容や品質だけではありません。スピードもニーズの一部なのです。お客様は100%のクオリティを待って納期に間に合わないくらいなら、70%程度満たせるものでも納期に間に合う方を選びます。ニーズとはQuality(質)、Cost(価格)、Delivery(納期)のバランスなのです。実際には、「ご要望に完全に合致したものではないが、ある程度の部分はこれでカバーできる。後は打ち合わせして調整しましょう」と、作業工程を先送りして、いったん受託を取り付けることを優先しています。
お客様は、自分のアイデアやイメージを早く具現化したいのです。100%合致でなくても、即答すればいったんそれをたたき台にアイデアや計画をブラッシュアップさせることができます。提案が粗くて怒られるどころか、むしろ即答に感謝されることも多いです。スピードは質を凌駕するのです。
そして、こうしてある程度のオファーに対して即答ができるのは、自分のストックの幅が広いからこそできることです。次に紹介する要素が、それを後押しする効果をもたらしてくれています。
最近になって出てきたようなキーワードやテーマを題材とした案件をご相談されることがしばしばあります。例えば、DX(デジタルトランスフォーメーション)、web3.0、パーパス経営、ダイバーシティ&インクルージョン、心理的安全性、レジリエンスなどです。かつてはデザイン思考、データリテラシーなどもこれに該当していました。
自信がないのか興味がないのか、敬遠する方が多いようなので、ふたつ返事で「やります」と答えるだけでお鉢が回ってきます。もちろん、私にとっても決して専門ではないので、実施するまでには情報収集は必要です。数冊の本を読み、オンデマンド動画を視聴し、時にはライブのセミナーを受講することもあります。この工程がキツイと感じるようであれば仕方がないですが、私は勉強すること自体は好きだし楽しいので、問題は時間のやりくりだけです。性に合っているのだと思います。
ある程度の知識を習得して本質が理解できれば、後は自分の既存知識と組み合わせることで「カタチ」にすることができます。すべてをゼロベースで開発する必要はありません。すでにあるものを使う。あるものでまかなう。ないものは新たに習得すればいい。それだけの話です。そして何より、こうして対応可能領域を一つひとつ増やしていくことが、自分のストックを増やすことにつながります。1つの領域を深く掘り下げることも大切ですが、たとえ浅く広くでも自分の幅を広げることで、それらを組み合わせて新しい価値を生み出すことができます。仕事の幅を広げれば広げるほど、次の仕事を呼び込んでくるのです。
ニーズやテーマがあいまいなオファーをいただくこともしばしばあります。お客様自身や営業担当の方がイメージを具現化できず「こんな感じのことをやりたいんですが、どういうことができますか?」と、言わば丸投げしてくるパターンです。例えば「人材育成について」「働き方について」「最近のビジネストレンド」のようなお題を出されると、幅が広すぎて何をすれば良いのか皆目見当つきません。
イメージを具現化するために打ち合わせを設けてヒアリングするという場合もありますが、繁忙期になるとスケジュールが詰まっていて打ち合わせをセッティングすることすら容易ではありません。何より、ヒアリングしたところで明確になるとも限りません。なぜなら、相手も具体的なイメージをまったくお持ちでなく、考える切り口や材料もないというケースが多いからです。
あいまいなニーズを具体的に、明確にする。この過程そのものが価値提供になります。「そういうイメージであれば、こんなのでどうですか」と、こちらから提示してしまえば良いだけの話です。当然、自分ができること、自分の得意領域に話を寄せます。言わば、自分の土俵に乗せるということです。もしそれが明らかに潜在ニーズから離れていれば、お客様も違和感を感じます。イメージのズレを擦り合わせていく中で、お客様が何を望んでいたのかが具体化してきます。その結果、自分には対応できない領域も出てくることもありますが、その場合は上述の通り新たに勉強して対応するか、適任者をご紹介するまでです。
合意いただけるなら、必ずしも100%ではないにせよ、ある程度はニーズを満たせているということです。あとは、コンテンツそのもの以外の要素で、満足度をできるだけ高めることに努めます。結果としてご満足いただければ、それが別の案件へとつながることがあります。やはり、こうして仕事が次の仕事を呼んでくるのです。
当社のミッションは「デキる人を増やす」です。仕事はデキるようになれば楽しいです。うまくできない仕事は楽しくありません。人生のかなりの部分を占める仕事が楽しくなれば、人生そのものが楽しくなります。そして、仕事がデキる人が増えれば、優れた商品やサービスが増えて、世の中はより豊かで快適になります。
仕事がデキるようになる近道は、とにかく量を積むことです。キャリアの初期段階であればあるほど、まず大事なのは量です。質を追っても量はこなせませんが、量をこなしていれば質は後からついてきます。まずは、たくさんの量をこなせるよう、自分のもとに仕事を呼び込む必要があります。他人がやりたがらないことを進んでやるようにすれば、仕事の機会はいくらでも作り出せます。
どんな仕事も「なんとかしてくれる」人に頼みたいものです。それは、社内であれ、社外であれ同じことです。自分に取って難しいこと、新しいことに好んで挑戦するようにしましょう。それがあなたのキャリアをより発展させる道を切り開いてくれます。
仕事が集まる人、仕事が来ない人
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本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。