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2022.5.16

人間関係が変われば自分が変わる〜考え方や価値観の幅を広げよう〜

先週、若手社員の方々に向けての時間管理研修を行いました。仕事は時間でできています。人生も時間でできています。時間の使い方が変わると、仕事の成果や生活、生き方までもが変わります。1日15分、30分だけでも良いので、なんとなくスマホをいじっている時間を、将来に向けた学習など自己投資に向けるだけでも、何もしないのに比べると大きな変化や成長を自分にもたらすことができます。

ただし、実は時間の使い方を変えるだけでは、自分自身を変えるのに必ずしも十分ではありません。なぜなら、時間の用途を変えたとしても、それはいまの自分の世界観・価値観の中でやりくりをしているに過ぎないからです。環境変化が激しいと言われる現代においては、いまの自分の物の見方、考え方、価値観そのものに疑問を投げかけるようなきっかけを得て、現在の延長線上にはないルートに人生の選択肢を増やしていくことが有効です。

研修の中で、つい話が脱線して時間管理とは異なる話をしてしまったのですが、自分の殻を破ったり、新たな可能性を発見したい人にとっては参考になる話かもしれませんので、今回はそれを共有しようと思います。

自分を新しい世界に導くために必要なこと。それは「付き合う人を変える」ということです。

自分を変えるには、まず周囲の他人から

「人生100年時代」ブームの引き金となった超ベストセラー『LIFE SHIFT(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット)』の中に、このような一節があります。

アイデンティティは友人関係やその他の人間関係に深く根ざしているので、移行を遂げるときはどうしても交際範囲が変わらざるを得ない。具体的には、ロールモデルになり、意気投合できる人物、自分と同様の移行を経験した人物を探すことになる。そうした人物を通して、新しく踏み出そうとしている世界の流儀を学んでいく。変身は一人ぼっちでは実現できないし、たいていは、昔と同じ友だちグループの中でも実現しないのだ。

リンダ グラットン , アンドリュー スコット , 池村 千秋(訳) 『LIFE SHIFT(ライフ・シフト』

職業人生が長期化し、時代の変化とともに就職先はおろかキャリアそのものの変身を迫られる上で、自分自身が新たなステージに移行するためには人間関係の変化が必要だと説いています。

人は習慣の生き物であり、また環境によって作られるものです。慣れ親しんだ職場と人間関係の中に身を置いて、周囲が変わらない中で自分だけが変身を遂げるのは至難の業だと言えるでしょう。たとえ、自己啓発や自己投資に時間を振り分けて行ったとしても、根底にある考え方や価値観が変わらない限り、それまでの自分と大きく変わることは難しいと言えます。

対人関係の改善においては「他人を変えるには、まず自分から」がセオリーではありますが、自分自身の改善においては「自分を変えるには、まず他人から」というのが現実解のように思います。

私自身、独立して開業し、東京から神戸へと移住する中で、この1年間で周囲の環境がガラリと変化しました。業務の大部分がオンライン化したことで在宅勤務が基本となり、ワークスタイルが変わったことも大きいのですが、特定の組織に所属しなくなったことで、必然的に人的ネットワークがまったく違うものとなりました。業務上のやりとりで前職の方々と接する機会はありますが、基本的には案件ベースで実務の話をするくらいです。

代わりに、自営業者、フリーランス、経営者との方々との交流が増えました。研修講師の勉強会に参加させていただいたり、キャリアコンサルタントの活動に参加するようになったり。知人の紹介や登録データベース経由で、これまでやったこともないようなお仕事の話をいただいたり。

つい先日も、中小企業診断士協会の青年部会にも加えていただきました。お勤めの方もいらっしゃいますが、独立志望の方も多いですし、何より異業種・異職種の方々が多いので刺激があります。当然、会社勤務だった時とは、話す内容、根底の考え方、物事の見え方がまるで違います。まだ1年ほどですが、自分でも内面のいろいろな部分が変わったという自覚があります。

独立と勤務、どちらが良いか悪いかという話ではなく、物事を異なる方向から見たり、異なる価値観と交わったり、取り入れたりして、自分の幅を広げていくことが変化への耐性につながるのではないかと思います。そのためには、付き合う人を変えることが必要で、手っ取り早く交友関係を変えるには新たなコミュニティに参加することが有効です。

コミュニティに貢献することで、自分の内面が変わっていく

ただし、単にコミュニティに加入して活動に参加しているだけでは、自分自身の変化を大きくは望めません。受け身の姿勢、傍観者の立場では、視野を広げるくらいの効果は得られるとしても、自分の考え方や価値観に揺さぶりをかけるまでのインパクトにはなかなかつながりません。

人的ネットワークを通して自己変革を図るためには、コミュニティに積極的、主体的に参加して、人間関係の密度を高くすることが求められます。平たく言えば、何かしらの役割を担って、コミュニティに貢献するということです。

傍観者的な立場で参加をしていても、あまり深いコミュニケーションを交わせません。表面的な会話、ちょっとした雑談、情報交換で終わってしまいます。それでは自分の内面の変化まではなかなか届きません。新たに築く人間関係の中で、何かしらの責任を担い、他の方々との密なコミュニケーションを交わし、時には意見の対立や折衝を行う経験を通じて、様々な感情の交錯、葛藤、ストレスが自分自身を少しずつ変えていきます。そのためにも、進んで何かしらの役割を買って出て、コミュニティの中で自分の立ち位置を築くことが有効です。

そして、何かしらの責任を担い、その務めを果たす中で、コミュニティでの存在感が増したり、実績が信用を生んだりして、他の方々の関心、注目を呼び寄せ、やがてそれが縁となって、未知のステージへ自分を導いてくれます。その最初のきっかけは、未知のコミュニティに飛び込み、新たな人間関係を作ることです。そして、当然ながら新たに求める人間関係は。自分がこれから求めるものをすでに備えている先人や、同じ夢や目標を抱く同志であることが望まれます。場合によっては、コミュニテイそのものを自分で創るという選択肢もありえます。

DX(デジタルコミュニケーション)が叫ばれ、世の中のデジタル化・オンライン化が加速する世の中です。環境の変化に柔軟に対応するための汎用性や柔軟性を磨いていくことはもちろん、コンピューターには容易に再現できないコミュニケーションや創造性、直感力、人間性などを養うのも、人間関係からです。今後、人的ネットワークをどのように築いていくかが、キャリア設計、人生設計に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。

自分を変えるためには、周囲の人間関係を変えていく。豊かな人脈と人間関係の構築が、デジタル&人生100年時代における自分の有効な資産になっていくことだろうと思います。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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