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2022.8.8

コンサルマインド 〜BtoBビジネスに求められる資質〜(意識編)

先日、あるお客様(IT系企業)から「コンサルマインドの研修ができないか」というご相談をいただき、いま提案を考えています。先方のイメージもまだ不明確ではありますが、察するに「単に顧客の要望に応えるのではなく、顧客の状況や問題を分析して、顧客の想定の上をいく提案ができるような力を身につけさせたい」というご意向だと認識しています。

とはいえ、「コンサルマインド」とは一体何なのか。私自身もうまく言葉にできません。提案が気にっていただけるかどうかはわかりませんが、じっくり考える良い機会だと思い、日頃私がコンサルティングの仕事をしている中で大事にしていること、発揮している(と思われる)資質を棚卸してみることにしました。ただし、一人で考えるのは難しいので、前職の営業担当2名にご協力いただいて、私の強み(?)を中心にコンサルティングに求められる資質を言語化してみました。

結果として出て来たのは、コンサルタントに限らず、すべてのBtoBビジネスをする人に共通して求められる資質なのではないかと思われる内容でした。法人相手にお仕事をなさっている方は、仕事への向き合い方を振り返るきっかけになるかもしれません。ぜひ最後までご覧ください。

コンサルタントの役割とは

「コンサルマインド」を具現化していくにあたり、まずはコンサルタントの役割から考えてみることにしました。まずは言葉の定義から。ロングマン現代英英辞典で”consultant”を調べてみると次のような説明がありました。

someone whose job is to give advice on a particular subject(特定の課題について助言を与えることを職とする者)

つまり、課題解決に向けた助言をすることがコンサルタントの本質的な役割だと言えます。

なぜ助言が必要になるのか。顧客が自身の課題をご自分で解決できるのであれば、助言などそもそも必要ではありません。助言が必要となるのは、顧客自身では課題が解決できないか、あるいは自力で考えるよりも優れた解決策を求めていらっしゃるからだと言えるでしょう。そう考えると、コンサルタントが果たすべき役割の一つとして、専門的な知識や経験が挙げられるでしょう。顧客が知らない知識や知恵を提供することで、課題解決のお役に立てることができます。

しかし、求められているのは必ずしも知識や知恵であるとは限りません。というのも、実際には課題解決に必要な知識や情報は、すでに顧客自身がお持ちになっていることが少なからずあるからです。これはコンサルティングというよりはコーチングに近い考え方ですが、答えはすでに顧客の中にあり、顧客がそれに無自覚であったり、単に頭の整理がつかないだけだったりする場合があります。コンサルティングの顧客は子どもではなく大人です。場合によっては、コンサルタントよりも顧客の方が知識や経験を豊富にお持ちであることもあります。経営者の相談に乗らせていただくのであれば、顧客の方が年齢が高く、職業経験も豊富だということは決して珍しいことではありません。学校の先生が子どもに教えるのとはわけが違うのです。

何より、お客様の事業や組織について最も詳しいのはお客様自身です。コンサルタントは汎用的な知識、専門的な知識については顧客よりも備えているかもしれませんが、顧客の具体的な課題を解決するために必要となる、事業や組織、業務については、顧客よりも豊富な知識を持っていることは考えられません。顧客のことについて最も詳しいのは、当然ながら顧客自身なのです。顧客は必ずしも知識や知恵を求めているのではありません。むしろ顧客の「壁」役となって、頭の中を整理するお手伝いをするというのが役割となるケースもあるのです。この場合、論理的思考に基づいて顧客の頭の中にある情報を構造的に整理したり、他者視点・第三者視点から顧客の考えにフィードバックを与えたりすることが求められます。

さらには、顧客がすでに課題解決の方法を理解している場合というのも考えられます。何をするべきかはすでにわかっている。しかし、頭ではわかっているけれども気持ちが向かない。やる気がしない。やりたくない。決断ができない。こうした場合に、「本当にそれで良いのか」を確かめたくて助言を求めるということもあるでしょう。その場合、コンサルタントが提供するべき価値は、知識でも論理的思考でもフィードバックでもありません。顧客の心情に寄り添い、共感し、励ます。あるいは、思い込みや誤った信念に気づいていただき、自身の置かれている状況を冷静に、客観的に捉えていただく。言わばカウンセリングに近いような役割を果たすことも考えられます。

一言で「課題解決のための助言」とは言っても、顧客の状況や心情に応じて、異なる性質の役割を果たすことが求められます。それを実現するためには、具体的にはどのような資質が必要になるのか。以下、意識・能力・行動の側面から個別の要素について考えてみました。今回は前編として、意識面についてです。

コンサルタントに求められる意識

目的意識

どんな業種や商材であったとしても、すべてのBtoBビジネス(法人向けビジネス)には共通した唯一の目的があります。それは「お客様を勝たせる」こと。つまり、自社の商材を利用していただくことによって、お客様の事業がより良いものになっていかなければ、仕事の役割を果たしたことになりません。いかにして、お客様が定量的・定性的に成功していていただけるか。どんなサービスを定挙するにしても、この目的を見失ってはなりません。

顧客視点

お客様を勝たせるためには、お客さまの事業や組織をしっかりと理解することが求められます。そのため、業界の構造やトレンド、課題などを把握した上で、お客様が置かれている環境を分析して理解し、お客様の視点に立って物事を考える姿勢が必要になります。

最上志向

モノが飽和し、情報の洪水にさらされている現代においては、平均的・一般的な商品やサービスを提供しても、お客様に感動をもたらすことはできません。お客様の期待を超える価値を提供するためには、自社が強みとする領域において、平均レベルを超えた「最上の水準」を追い求める姿勢が必要です。私の場合、「Logically Emotional(論理的にアツく!)」を自分の強み(こだわり)と掲げていますので、日々の知識・情報収集を継続的に続けることと、自分の事業に対して想いと情熱を持ち続けて、私ならではのサービスを提供することを競争優位の源泉として位置づけています。

創造性

お客様の課題を解決したり、ニーズを満たすためには、時には不可能だと思われることに挑戦しなければならない場合があります。自分の能力や守備範囲を超えるようなことであったり、リソースが不足している時に、自分ができる範囲に物事を収めようとしてしまうと、最上のサービスをお客様に提供できなくなってしまいます。「できることをやる」のではなく「正しいことをやる」という姿勢で課題解決に向き合う必要があります。そのため、既存の商材やツールで解決ができないのであれば、新たなものを作り出す「ないものは作れ」という思考や、課題解決に必要な資源は後からついてくるという「目標が先、資源が後」という信念が必要になります。

謙虚さ

職業柄「先生」と呼んでいただくこともありますが、コンサルタントは決して先生ではありません。お客様の事業に最も詳しいのは、当然お客様自身です。お客様の状況を深く理解しているのもお客様です。そして、課題解決を具体的に進めていくのもお客様自身です。コンサルタントはあくまでも、助言者であり伴走者に過ぎません。決して上から目線に立つことなど許されるはずもなく、むしろ実業を行って世の中に具体的な価値を提供しているお客様に深く敬意を持って接し、お客様のお話を「聞かせていただく」という謙虚さが必要です。

倫理観

コンサルタントに限らず、すべての事業者、職業人にとって、最も重要なものの一つが倫理観だと言えるでしょう。どんなに優れたアイデア、優れた解決策であったとしても、人の道に外れてしまっていては元も子もありません。やって良いことと悪いことはしっかりとわきまえ、越えてはいけない一線は必ず守る必要があります。その一線を越えてしまった者の末路が、常に救いようのないところまで堕ちていってしまっている様は、日々のニュースを見れば明らかです。手段を選ばなければ、短期的な成功は安易に得られるかもしれません。しかし長期にわたって成功し続けるためには、倫理的に正しいというのが前提条件となります。「Do the right thing. Do things right.(正しいことをやれ。物事は正しくやれ)」これは何よりも優先されるべき原則なのです。

次回は今回の続編として、コンサルタントに求められる能力と行動について考えてみます。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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