ビジネスパーソンがアカウンティング(会計)スキルを身につけるべき理由

おはようございます。自分らしく働いて結果も出す、デキる人を増やすコンサルタント小松茂樹です。

先週、ある企業様にて、私にとっては初のテーマとなる「会計・財務分析」の研修をしてきました。中小企業診断士の資格を取得する際にかなり勉強しましたし、自分で会社を興してからは自社の帳簿をつけているので、やろうとと思えばできないテーマではなかったのですが、これまで進んでやろうとはしてきませんでした。過去の仕事の中でオファーをいただくことがなかったため、手元に教材のストックが何もなく、研修をやるとなると一から教材を作らなければならず、仕込みにかなり骨が折れることが確実だったからです。

私が以前からよく行なっているリーダーシップやマネジメント、キャリア、業務改善などのテーマであれば、多少のカスタマイズをご要望いただいても既存のコンテンツを組み合わせたり、少し修正したりすれば、ほとんどのものが対応できるくらいストックが溜まっています。ストックが何もない状態から2日分の講座の内容を設計し、資料を作るのは決してラクではありません。それに加えて、会計はより実務的・技術的な内容になるため、練習用の素材をいくつも用意する必要があり、日頃やっているテーマの研修よりも一層手がかかることが目に見えていました。

今回ご縁をいただき、会計と財務分析の2日間コースを担当させていただきました。仕込みに丸々一週間くらいかかるほど準備を要しましたが、クオリティに妥協せず丁寧に作り込んできた甲斐もあってか、無事に終了することができ、ご好評をいただきました。自信を持って、当社の研修ラインナップの一つに加えることにしました。

アカウンティング(会計)は、経営幹部や上級管理職を担う方はもちろん、経営課題解決型のビジネスを行う方々には必ず身につけていただきたいスキルの一つです。決算資料が読めるか読めないかで、経営課題の分析力が格段に違ってきます。ビジネスを行う上で、利益の創出とキャッシュフローの確保は決して欠かすことのできない重要な視点であり、これらの概念が理解できないことには、経営幹部と共通言語で会話することもままなりません。組織の中においても、幹部人材として重要な意思決定を担う立場の方であれば、前提として身につけておくことが欠かせない重要なスキルです。

今回は、ビジネスパーソンがアカウンティング(会計)スキルを身につけるべき理由についてお話しいたします。

ビジネスパーソンに求められるアカウンティング(会計)のリテラシー

アカウンティング(会計)とは、端的に言えば事業活動における「お金のやりとり」を記録するものです。その記録を通じて、事業活動の動きを見ることができます。特に、1年間の事業活動の総まとめである決算書からは、事業としての成果や、年度終了時の財政状態を読み取ることができます。言わば「企業の成績表」とも呼べるものです。

決算書が読めない、つまりアカウンティング(会計)のリテラシーがないということは、企業活動の良し悪しを評価できないことを意味します。組織の経営幹部や中核人材はもちろん、顧客の経営課題を解決するビジネスを担う方にとって、経営状態の把握や分析ができることは当然に求められる能力であり、アカウンティング(会計)はそうした能力を構成する要素として欠かすことのできないものです。アカウンティング(会計)は、会計の実務を行う経理部門だけでなく、すべてのビジネスパーソンに求められる能力です。決算書が読めることは、ビジネスをする上での様々な場面で有利に働きます。

自社の経営状況の把握

第一に、自社の経営状況を把握することができます。利益がどれくらい出ているか、収益性や生産性は高いか、借入金が多すぎないか、現金は十分にあるかを読み取ることで、経営状況の良し悪しを判断したり、さらなる発展に向けた経営課題を発見することができます。

取引先の評価

第二に、取引先の評価ができるようになります。決算書を通じて納品した商品やサービスの代金を回収できるか(貸倒れリスクはないか)、取引して大丈夫な相手かを判断することができます。非上場企業は外部から財務諸表を見られないと思われるかもしれませんが、非上場企業であっても決算公告にて決算書を開示する義務があります。罰則がないため、実際には公開していないケースが多いですが、公開している場合には外部から決算の情報を入手できる場合があります。

融資先・投資先の評価

第三に、融資先・投資先の評価ができるようになります。決算書を読むことで、融資した資金の利息を支払えるか、出資した企業の株価が上がりそうか、配当金が出そうかを分析し、評価できるようになります。銀行業や投資ファンドでもない限り、そうした視点で企業を見る機会はないと思われるかもしれませんが、近年の「貯蓄から投資へ」の流れで株式投資がより身近なものになり、今後ますます企業の株式を取得する個人が増えてくることから、仕事だけではなく私的な面でも役立つスキルとなります。

決算書を読むスキルを身につける

ビジネスパーソンが学ぶべきアカウンティング(会計)スキルは、必ずしも簿記の技術である必要はありません。ましてや、簿記の資格を取得する必要もありません。もちろん、複式簿記や仕訳の概念など、前提として知っておくべき簿記の知識はありますが、経理担当者として日常的に会計処理を行うのでない限りは、簿記の技術そのものを習得する必要まではないと言えます。

むしろ、一般的なビジネスパーソンに求められるのは、決算書を読むことができるスキルです。決算書の中でも、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/S)の3つは「財務3票」と呼ばれ、事業活動の成果を確認する「企業の成績表」として使うことができます。これらの資料を読み取ることで、企業の収益性や効率性、安全性、損益分岐点などを分析することができ、経営課題を導くことができます。

貸借対照表(Balance Sheet)

ある一定時点(通常は決算期の最終日時点)における企業の財産の状況を表す帳票です。資産の部・負債の部・純資産の部の3つから構成され、資本=負債+純資産となるように作成されます。この資料を読むことで、企業の安全性(倒産のリスクがないかどうか)を読み取ることができます。

損益計算表(Profit & Loss Statement)

一定期間(通常は1年間)の経営成績を表す帳票です。収益・費用・利益で構成されます。企業がどのような活動で利益(または損失)を生んだのかを読み取ることができます。この資料を読むことで、企業の収益性を読み取ることができます。また、貸借対照表(B/S)と組み合わせて読み解くことで、企業活動の効率や生産性を読み取ることができ、前年度実績と比較することで成長性を読み取ることもできます。

キャッシュフロー計算書(Casf flow Statement)

損益計算書(P/L)に記載される収益や費用は、実際のお金の出入とは異なります。未入金の売上、未払の仕入など、実際の取引とお金のやり取りのタイミングは必ずしも一致しません。そのため、たとえ利益が出ていても、現金が底をついてしまうと会社は倒産してしまうことがあります。これを「黒字倒産」と呼びます。事業を継続する上で必要な資金が確保できているかを確認するためには、損益計算書上の収益や利益とは異なる視点で、「現金の出入」に焦点をあてた帳票を作成する必要があります。それがキャッシュフロー計算書(C/S)で、営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローの3種類から構成されます。

人材育成としてのアカウンティング(会計)

アカウンティング(会計)のリテラシーが身につくと、企業経営の視点を身につけることができます。決算書からは組織活動の集大成としての成果が確認できます。忙しい日々を送り続けていると、自分がおこなっている個々の仕事の意味や目的を見失いになりがちになりますが、決算書を読む力を身につけることで、会社組織を俯瞰的に見る視座を手に入れることができるようになります。

これにより、日々の仕事の中での問題意識を高めたり、経営者や幹部人材と同じ視座から業務を捉えたりすることにつながるため、従業員のビジネススキルを高める人材育成としての効果も期待できます。

当社では、会計や財務の予備知識がまったくない方にも楽しんで学んでいただけるよう、誰もが知るような有名企業を題材にしたクイズや演習をふんだんに盛り込んだ研修プログラムをご提供しております。ご興味のある方は、ぜひ下記のフォームからお問合せをお願いいたします。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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投稿者プロフィール

小松 茂樹
中小企業診断士・キャリアコンサルタント。株式会社ビジネスキャリア・コンサルティング代表取締役。人材派遣会社、健康食品会社を経て、経営コンサルタントに転身。営業力強化・業務改善・生産性向上・ビジネススキル向上など幅広い範囲で、業績向上や人材育成の支援を行っている。理論的な背景と情熱的な語り口を交えた講演スタイルに定評があり、セミナーや研修で高い支持を得ている。

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