石の上にも6年〜やり続けることの重要性〜

私の定番研修のひとつに「データ思考力研修」というものがあります。データ思考とは、データ分析と仮説思考を組み合わせた概念で、データによる仮説検証で物事を考えるという意味です。

先週ある企業でこの研修をした際に、実に6年越しで、ようやく自分の中で納得のいく講義ができたという感触を得ることができました。目指していた水準に、ようやく自分のレベルが追いつくことができたと言えます。「石の上にも3年」とは言いますが、このコースについては3年ではまだまだ反省が残る面も否めず、6年経ってようやく自分の中での期待水準に到達です。

日頃は新しいことに挑戦することを推奨することが多いですが、同じことを愚直にやり続けることも重要ですね。まさに、石の上にも6年です。

教材の問題ではなく、自分の問題だった

データ思考力研修では、仮説検証を行うための技術として、平均値や中央値、分散や標準偏差、クロス集計分析など、統計的な技術を学習します。抽象的な概念が多くなるためわかりにくい面は否めず、理解を深めていただくために、架空のショッピングモールを事例にしたケーススタディを進めていくような設計にしています。

講義で理論を説明し、ケーススタディでデータを確認する。そのデータを読み解いて次の仮説を構築し、それを検証するために必要な理論や技術を説明した上で、次のデータを参照していく。これを繰り返していく形式のコース設計です。

研修プログラムを開発したのは2016年。翌年の2017年に定番コースとして採用いただいたのをきっかけに一度手直しを行い、それから6年間続けています。開発時点では私もまだ、コンサルタントとしては駆け出しの頃。当時、かなり必死になってケースを作成したことを覚えています。

ケーススタディを使った研修プログラムは他にもいくつかありますが、このコースは複数のデータを読み解いて合理的な判断や意思決定を行うことを目的としているため、各データ間の辻褄合わせをしておく必要があります。全体の整合性を図るために何度もデータの確認をしなければならず、プログラム開発に苦労したうちのひとつとして、とても思い入れがあります。

苦しみながらもなんとか仕上げて、それから6年間。年に2〜3回くらいのペースで研修を実施してきました。正直な話、自分で作成しておきながらも、各データの関連性を踏まえて全体のストーリーを説明するのが、うまくできなかったところもありました。

やはりケース開発時の自分の力量が不十分であったのか、より質の高い研修をご提供するためには、ケース題材を再設計しなければならないかと悩んでおりましたが、問題はケースの方ではなく、私の力量だったことに気づきました。

当初はそこまで想定して作成していなかったはずなのですが、ケースに記載されているデータをしっかり読み解いていくと、しっかり点と点が線としてつながって、一貫性のあるストーリーになったのです。もちろん、運が良くてたまたまそうなったのかもしれませんし、無意識のうちに整合性をとってケース開発をしていたのかもしれませんが、少なくとも前回まではそこまで全体像を保ちながら解説ができず、少なからず断片的な解説をしていた場面がありました。

今回は、我ながら会心の出来でした。講義の設計とケース題材、個々のデータ同士がしっかりとつながり、架空の設定とは思えないほど自然な展開で説明することができたのです。そこで、改めて思いました。教材が問題だったのではなく、自分のレベルがようやくこの教材を使いこなせるレベルに到達したのかもしれないと。

経験を力に変える

私は日頃、どちらかというと、同じことをやり続けるよりも、新しいことや難しいことにどんどんチャレンジしていく方が、能力向上やキャリア開発に効果的だという考え方に基づいて話をしています。

しかし、今回感じたのは、挑戦がすべてではなく、物事を継続してやり続けることもまた、人の成長に寄与するのだなということです。データ思考力研修はこれまでに数十回開催していますが、何度も何度もやり続けることによって、ようやく自分が作った教材を自分が使いこなせるようになりました。これは私にとって、新たな発見でしたし、純粋に嬉しい気持ちになりました。

経験の蓄積が能力の向上につながります。ただし、そこにはたった一つだけ前提条件があります。それは「常に現状に満足せず、問題意識を持ち続ける」ということです。もし私が、これまでの水準にすっかり満足して「これでもう十分」と思って研修業務をしていたら、その水準を維持することはできても、そこからさらに改善するのは難しかったことでしょう。

現状のレベルに何か違和感を感じたり、もっと良くできるはずだと問題意識を持ちながら続けてきたことで、経験の蓄積が一定のレベルに達したときに、ふとしたきっかけで限界突破に到達したのだと思います。

以前の動画で「普通の基準」について解説しましたが、やはり基準を高く持ち、目標を高く掲げ、その上で経験を重ねることによって、さらなる成長が期待できるようになるのではないかと思います。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

神戸・大阪で人材育成・社員教育をお考えの経営者、管理職、人事担当者の方々。下記よりお気軽にお問い合わせください。(全国対応・オンライン対応も可能です)

お問い合わせはこちらから

   

関連記事

  1. 長期的に成功する人と、成功しない人の違い

  2. 置かれた場所でも咲きましょう

  3. カタチだけの仕事をしていないか?〜セールス電話から考える「仕事の質」〜…

  4. 人間は言葉によってできている

  5. 人が喜ぶことをしよう!

  6. 相手を褒めることは、自分を高めること